若手研究(2024 - 2026年度)
高橋広奈(代表者)
研究の概要
申請者らは過渡蛍光検出赤外分光法を赤外超解像技術と組み合わせることで、水溶液中の溶質分子の赤外スペクトル測定を高感度で行うことに成功した。この手法で測定した蛍光分子の赤外スペクトル構造が共鳴ラマンスペクトルと類似していることを見出し、この手法が振動励起状態からのFranck-Condon因子を反映することを明らかにした。一方で、蛍光タンパク質発色団部位については共鳴効果の詳細は不明である。そこで本研究課題では、振動励起状態からのFranck-Condon因子の共鳴IRスペクトル構造への寄与を解明し、振電相互作用の寄与も検討することで、「共鳴IR法」における共鳴メカニズムの解明を目指す。
基盤研究(B)(2022 - 2024年度)
酒井誠(代表者)
研究の概要
本研究では、様々な機能性生体試料に対して2種類の超解像赤外分光イメージングを適用することで、生体試料中の特定のタンパク質二次構造の選択的観察を実現し、分布・配向・濃度を含めた精密な分子構造解析により、新たな「ナノ空間局所構造解析」法の確立を目指す。具体的な研究計画の手順としては、1)四光波混合を利用した赤外超解像顕微鏡の開発、2)羽毛サンプルを標準試料としてシステムの性能評価、3)新規生体試料の探求、の3つのテーマに分類して研究推進する。
若手研究(2021 - 2023年度)
高橋広奈(代表者)
研究の概要
本研究で「水溶液中における蛍光タンパク質発色団部位の選択的赤外分光計測」を行い、発色団部位のみの局所的な構造解析に取り組む。具体的には申請者らの開発した、過渡蛍光検出赤外(TFD-IR)分光法と顕微鏡技術を組み合わせた共鳴IR法により、①振動数から発色団部位の分子構造を同定する、②信号増強されるバンドから電子励起状態における構造変化を明らかにする、③バンドごとの振動緩和速度から周囲のタンパク質との相互作用を解明する、を行う。発色団部位の分子構造、電子状態および周囲のタンパク質との相互作用が、吸収・発光特性に与える影響を解明し、将来的には新規蛍光タンパク質の設計・開発へのフィードバックを目指す。
挑戦的萌芽研究(2015 - 2017年度)
酒井誠(代表者)
研究の概要
本研究では、申請者らの開発した過渡蛍光検出赤外超解像顕微鏡法の高感度かつ高空間分解能の特性を利用して、蛍光タンパク質の発色団の赤外スペクトルの測定を実現できないかと考えた。その実現には、水溶液中における蛍光生生体分子の赤外スペクトル測定が必須であるが、本研究では、タンパク質の発色団であるフラビンを含めた蛍光生生体試料の水溶液中における赤外スペクトル測定および振動緩和過程の観測に成功し、多くの基礎データを収集できた。これらの結果は、フラビンタンパク質(発色団:フラビン)やロドプシン(発色団:レチナール)等の蛍光タンパク質における発色団の赤外スペクトル測定に大いに役立つデータと考えている。